【動画】ADLセミナー

【セミナーレポート】座位で見るべき、A D Lに必要な肩関節の機能の獲得を目的に

セミナー目的

本日のゴール

  • A D Lに必要な肩関節機能の獲得のために肩甲骨・上腕骨の位置、筋肉レベルの思考と治療展開を考える
  • 亜脱臼やC R P Sの痛みの予防と治療のきっかけになる。

脳卒中による肩関節の機能障害とは?

  • 亜脱臼
  • 運動麻痺
  • 痛みがある
  • 可動域制限
  • 痙性   などなど

これらはあくまでも肩関節単体での機能レベルの問題で、ICFでの心身機能障害にあたります。

脳梗塞、脳出血、くも膜下出血では脳血管になんらかの問題が生じることで、脳の細胞が壊死する病気です。

その結果、骨格筋をコントロールすることができず、運動麻痺や筋緊張、感覚、バランスの問題が起こり、そこから二次性のもの不動や可動域制限、痛みが引き起こされます。

つまり重要なことは機能レベルの問題と、脳血管障害由来の脳の問題とを臨床場面では分けなければなりません。

実際の場面では脳卒中後遺症における肩関節の問題とは、こういった心身機能が低下することで、活動ができなくなりA D L動作が障害され、行為ができなくなることに主眼が起これます。

つまり、その際に機能レベルをただ向上させるだけで良いのか?となるとそうではなく、そこからADLでどのように上肢を使用し、行為に繋げられるかを考えないといけません。

そう考えた場合に、そもそもなぜ機能障害が生じたのか、ここを理解することが重要となるのです。

運動が発現するまでの脳の処理過程

コーヒーを飲むといった課題を考えた場合、まずは機能障害を考える前に脳血管障害由来の問題が何なのかを考えていきたいと思います。

カップを見た時に後頭葉に視覚情報が入ってきて、そのコップの動きや位置は頭頂葉で処理されます。

それに対して色や形は側頭葉で処理されます。

これらを2つの経路として、前者をwhere経路(どこにどのように)、後者をwhat経路(何)に情報が分けられます。

そして、その情報が前頭葉に行って、飲もうとか熱いからホットコーヒーはやめとこうなどと運動自体を企画・判断します。

実際にそこでやろうと思うとコーヒー飲むためにどうしたらいいかは補足運動野と基底核でどんなカテゴリーでどんな手順でやったらいいかを決め、小脳で筋肉のタイミング、出力、組み合わせを決めて筋肉の使い方を決めます。

これらを運動プログラムの生成とよび、前者は記憶誘導型運動、後者を視覚誘導型運動といって、それぞれに関係する脳部位が働きます。

その企画情報をもとに、筋緊張をコントロールしているγ運動ニューロン、運動野から皮質脊髄路を通ってα運動ニューロンから筋肉へ伝わり実際のコーヒーを飲むといった運動が起こります。

ではその際に肩関節の問題が出た場合にはどういった問題かを考えないといけないのですが、それが運動を行う実行系の問題となります。

 

<肩関節機能を評価する時>

大脳皮質、連合野機能はしっかりしている。運動は高次脳機能から始まる。今回の症例さんは実行系以前の過程は問題ない。肩がうまく動かない、肩関節の機能さえ良くなればもっといろんなことができるからこそ肩の機能を評価治療していく。評価はまず目的である参加を見て、動作を見て、機能面である肩の問題であった時、どこのアライメント?どこの筋肉?どんな手順でどこを見るのか?を考えていく。

 

<リーチをする時の復習>

リーチをするとは、何かをとる、支持するために上肢を使う。

『肩』方向・重さ(代償:方向→体幹の回旋、重さ→体幹伸展)

『肘』距離(代償:体幹の前傾)

『前腕、手指』傾き・操作性(代償:傾き→肩が外転、側屈、操作→上からものをとる)

 

<患者さんの動画>左上肢でリーチをする症例動画

筋の張力で肩挙上はできるが下ろす時にドンと落ちてしまう。

肩甲骨は手を前に出していった時に肩甲骨戻っているかどうか、症例さん戻らない。

亜脱臼助長する原因!!

僧帽筋や上腕二頭筋ばっかり使ってしまって筋疲労で痛みがでる。

行って戻った時に肩甲骨が戻ってなかったから、しっかりと戻せばいい

棘上筋、三角筋後部繊維などが使えてないのではないか。

 

<肩関節の機能獲得を目指した時に何が問題でしょうか?>

麻痺?肩が上がらない?体幹の代償?リーチができない?肩関節の機能していない?

肩甲骨・上腕骨の位置?

 

<評価する順番>

  • 肩甲骨の位置
  • 上腕骨の位置
  • 脊柱の位置
  • 頭部の位置

*後面→前面→側面から上記位置関係を見ていく

さらに筋肉レベルまで考えていく

 

<後面からの評価>

肩甲骨と上腕骨の位置をみる。

肩甲骨の良い位置とは?肩甲骨から正常の位置は7-9cm。

服を着た状態で見抜いていかないといけない症例さんは左肩甲骨外転、上方回旋、下制。症例さんは脊柱から肩甲骨まで左側は13cm、右側は8cm。

上からみると左肩甲骨外転がよくわかる。

肩甲骨に手を当てて介入前と介入後で比べることが大事。

 

<前面からの評価>

前面から見た時、左肩甲骨下制、鎖骨の位置、左右差、上腕骨内旋位、乳頭が下方位、骨盤左傾斜。頸部左側屈、体幹左側屈。亜脱臼があることは影があることでわかる。影とは、上腕骨頭が前下方に滑ってくると皮膚も伸ばされる、歪みが起きる、そこが奥に窪んでしまうのでそこに影ができる。

 

<側面からの評価>

亜脱臼している人は前下方に偏位する。

肩甲骨に対して上腕骨がどれくらい偏位しているかをみる。症例は偏位しており、1-1.5横指くらい亜脱臼がある。上腕骨頭が膨らんでいるのが見えるがこれが影になっている。頸部が前に出ている。

肩甲骨と上腕骨の位置を定期的に継時的に見ていく。

 

<肩甲骨、上腕骨の位置に対して思考と治療展開までを考える>

上腕骨と肩甲骨の関係

関節面を構成する骨頭は関節窩に対して半分より下についてる。だから滑ったり転がったりできる。患者さんはこの関節面の位置がずれる。

関節窩結節が後ろだけ覆う、前は覆ってない。滑液包は外にある。

  • 関節包 で止めてくれる。圧のコントロールができる。
  • 関節唇 これで少し包んでくれる。
  • 関節窩 すごく小さい。滑らすだけ。

脳卒中の亜脱臼はこの関係性が崩れる。この関節窩、関節唇、関節包の関係性が破綻する。

伸縮性はない、機能不全が起こる。三角筋収縮不全、棘上筋もさらに伸ばされる。

早めにスリングつけてトレーニングしましょうって言われている、破綻が起こる前に対処しないといけない。肩峰、滑液包の下に棘上筋がある。棘上筋は直接触れない。

 

棘下筋、棘上筋、肩甲下筋、三角筋

横から三角筋の上に棘上筋その上に僧帽筋 関係性高い。僧帽筋どんどん活動すると三角筋、棘上筋に影響してくる。働きすぎているところをいかにコントロールしていくかも大事。

 

大胸筋、僧帽筋、広背筋も関係している。

 

脳卒中の人になると接触していないはずの関節窩の上の部分がハマってくる。

本来関節面ではない部分が関節面になる。15−20ミリは、ずれている。

 

<よくきく症状、症候は?>

肩関節亜脱臼?C R P S?

健康な人でも肩甲骨が左右対称な人はなかなかいない。肩甲骨と上腕骨の関係は崩れている人が多い。正常な人でも脊柱から肩甲骨が7−9ではない、でも亜脱臼の人はいない、なぜ脳卒中の人が亜脱臼になるのか?

 

<原因として?>

・筋緊張異常

・可動域制限

・筋短縮

・関節包・靭帯の機能低下

上腕骨頭を肩甲骨関節窩に安定させている筋肉:棘上筋・上腕二頭筋・三頭筋、大胸筋、広背筋、の短縮など考えられている。

 

<亜脱臼を考える>

亜脱臼は脳卒中の人の2人に1人がなっている。筋緊張異常の人や麻痺で運動が起こせないから短縮など。亜脱臼起こっていても使える人はたくさんいる。亜脱臼でかつ痛みが起こる人は難渋する。

屈曲0から40度がポイント(肩甲上腕リズムより)。

肩甲骨と上腕骨を一緒に動かしてくる人に痛みが出やすく、G H(肩甲上腕関節)とS T(肩甲胸郭関節)が1対1の人は要注意。本来は2〜3対1程度。上腕骨をまず動かす、その時に肩甲骨がどれくらい動いているか。実際は60度くらいの範囲で評価。正常の人は上腕骨が動きながら肩甲骨がどれくらいのリズムで動いていくのかを体感して、患者さんとの違いを感じる。ローテーターの運動は早期から始めよう。また、可動域制限、筋短縮は作ってはいけない。肩甲骨と上腕骨が一緒になって動く人はインピンジメントが起こる。疼痛が起こらないよう二次障害予防のための早めにスリング使用は推奨する。

 

<主に亜脱臼の原因と言われている筋肉>

棘上筋の活動が乏しい。

大胸筋と肩甲下筋、広背筋(内旋位になってくる)の短縮が起こってくる。

上腕三頭筋、三角筋、上腕二頭筋の筋活動が乏しい。

 

棘上筋

棘上筋がしっかり働くと上腕骨頭が求心位で安定する。棘上筋がコントロールできなくなると関節包・靭帯へのストレスがかかる。

学術的には6種類棘上筋がある、バリエーションがある、個別性に富む。

多層構造の2段階機能(近位と遠位で分かれる)。

近位は活動するけど遠位は引っ張られたらたわむ、近位で収縮しても多層構造のため、亜脱臼治らない、電気流して収縮するも治らない、筋緊張が大きく影響する。

 

棘上筋遠位は肩峰と滑液包の下に入ってくるから触れない。だから早めにスリングをする。

スリングつけると棘上筋働かなくなることはない!!短縮は伸ばせば予防できる、この部分は筋緊張変わってこないと難渋する。

 

0から60度くらいで骨頭を求心位で止めた状態でトレーニングする、手をふることで治療ができる。スリングつけていても前後に動かせば手を振ることはできる。歩行で手を振る練習重要。

 

後面:僧帽筋

僧帽筋下部繊維の活動性大事。

翼状肩甲はこの下部繊維働きにくい。

 

症例さんは僧帽筋上部繊維、麻痺側が盛り上がっている。

肩甲骨と肩甲骨の間がボコっと凹んでいる、筋萎縮がある。

肩甲棘から1横指中に入ると棘上筋触れる、膨隆していて暗いのは肩甲骨が前に出ているので僧帽筋上部繊維が捻れているのが一直線になっている。さらに働いてしまう。

僧帽筋上部繊維が硬いとそこばかり使ってしまう、棘上筋や三角筋後部繊維使いにくい。

 

前面:大胸筋

大胸筋は垂れている、筋緊張が低く見える中に短縮が見える。

起始は上にあるから引っ張られる、起始の部分だけ筋緊張が上がる、鎖骨の繊維が短縮してくると内旋位で前方に引っ張られ、上腕骨が引っ張られる。

鎖骨下繊維に短縮がないかを見る。上腕骨を外旋、外転位に引っ張る。

垂れている人ほど、鎖骨下繊維に反射がどんどんでて短縮おこりやすい。

側面三角筋後部繊維、上腕二頭筋長頭。上腕三頭筋長頭、棘上筋をみていく。

 

<座位姿勢で見ることがポイント>

肩甲骨と上腕骨をみる、そこにまつわる筋肉を見る。

座位姿勢によって肩甲骨の位置は影響受ける。

 

成人男性にてニュートラルから骨盤後傾位になると肩甲骨は1横指くらい外転位になってしまう。

前傾位になるとニュートラルとあまり変わらない。

 

もたれた姿勢は上腕骨が前に出る、骨頭が前方突出して内旋位に入ってくる。

成人男性でも姿勢によって肩甲骨と上腕骨の関係性が変わる。

肩関節機能のトレーニングをするときは筋活動が欲しいので、背もたれにもたれないニュートラルな姿勢で実施。もたれると肩は上がらない、0−60度で棘上筋をトレーニングするときはもたれても大丈夫。もたれると内旋している上腕骨頭が重力にて垂れるので、骨頭戻してトレーニングする。10度から20度の外転の練習と0度から60度の屈曲練習を低負荷、高頻度で棘上筋のトレーニングをする。そのほか短縮をとるときはもたれていてもいい。

 

今回の症例さんでは

まず肩甲骨・上腕骨の関係性をトライする。

骨盤のコントロールは良いから僧帽筋の下部繊維と三角筋へアプローチ。

 

<臨床での注意点>

亜脱臼が2横指だったら1横指、1横指だったら0.5横指戻す練習をする。

正常の位置に戻して筋活動しようとすると活動しない、筋の張力が失われるから。

少し戻した状態でトレーニングをすると筋活動が起こりやすい。

 

<実際に行った治療内容>

三角筋後部繊維は肩甲骨と上腕骨の圧縮に関係する。

僧帽筋上部繊維の起始と停止を近づける、循環良くなり粘弾性が改善。

僧帽筋下部繊維は脊柱側に捻るように近づける。

三角筋後部繊維をダイレクトに持って中指で上腕骨頭を求心位に持っていって電気を当てながら治療。

遠位の部分を肩甲骨に合わせて働かせる

三頭筋と二頭筋のコントロールしながら5分程反復する。

内外旋のコントロールをする、屈曲進展を反復する。ほんの少しだけしか動いてない。症例さんの筋収縮が起こってから促通しているこのタイミングが大事。

下部繊維はつまむと胸郭伸展するだけなので、若干内転と内旋して捻らないと肩甲骨が動かない。下部繊維は収縮しにくいので、先に近づけて戻してをこちらが誘導して収縮を起こした上で収縮をのせていく。

 

なぜ僧帽筋から治療したのか?

僧帽筋下部繊維の活動が少ないから大胸筋、広背筋の短縮につながっていると仮説。

棘上筋は働いてきていた、肩甲骨を動かしていくことが大事ではないか。

 

僧帽筋下部繊維と広背筋の関係が強い、広背筋は下角につく外転方向に引っ張られる。

僧帽筋の筋活動が起これば肩甲骨が下方回旋したら広背筋も変わるか?

肩甲挙筋には指をかけないことが大事、遠位になって行けば行くほど細くなる。

頸部は前方から胸で止める、僧帽筋だけを動かして、ヘッドを止めた状態で求心遠心のコントロール。

右手に関しては肩甲骨が下方回旋するように上腕骨から誘導している

 

広背筋の短縮が残ったのはなぜか?

広背筋の短縮をとるアプローチをしなかったのが敗因。

下角についている広背筋は動いてきていたからよかったと思っていた。しかし広背筋の3層構造であり、広背筋は骨盤にも腹斜筋にも連結しているため、そこのアプローチが足りなかった。

 

二次性の要素は動かした方が早い。例えば肋間筋一個ずつマッサージよりも深呼吸10回した方がいい。運動させると筋肉の質は変わる。運動させて残ったとこだけアプローチする方が介入としては変化が早い。

 

<その他の治療提案>

手指やリストが動いてくると三角筋後部繊維、三頭筋が使えてくる。

リーチより下方リーチ、支持として使っていく、リサーチ探索活動壁にもたれていく。

距離を測るために手の長さを使って練習する方法もある。

リュックサックを背負う、ものをぶら下げる、肩甲骨の挙上の練習。

両方肩をあげる練習も良い。

 

<まとめ>

フルリカバリーをするために肩関節の機能獲したい時に何を見ますか?

肩甲骨と上腕骨からみる。

三角筋と棘上筋、僧帽筋上部繊維。

まずは参加を必ず見ている。苦労している動作はどんなふうにしたらできるか?

亜脱臼などアライメントが悪く、リーチができないことによって何かの参加ができないことが問題。

 

肩の機能は

リーチ、物品操作だけではなく、以下の機能も担っている

リサーチ 人との距離感、ものを探す時、背もたれの感じとか。

バランス 電車乗って壁にもたれたり、椅子に座った時

保護、支持 眩しい時にとか保護したり

ボディランゲージ コミュニケーションとる時

 

脳卒中の人は肩にかけられないからリュックが背負えない、健側斜めがけが多い。

服を着る時に肩の動きが必要で、肩からツルッと落ちてしまうため知らぬ間に肩甲骨でキュってあげている。肩の機能が悪いとハグ、抱きしめてあげられない。

 

機能も動作もどっちも見る!!行為というこの人の人生を変えていくためのA D Lセミナー。結果が全て、患者様をいかによくするか!

身体機能を変え、動作に生かし、生活を変えていくことが大事。

機能面つまり棘上筋ばっかりに治療する人、リーチ動作だけを見ていて分解できない人、想いばっかり先行にて目標ばかりを口にする人、この心身機能と活動と参加を行き来しながら、木を見て森を見て評価治療していくことが大事。

 

 

-【動画】ADLセミナー

© 2020 脳外臨床大学校 Powered by AFFINGER5