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慢性硬膜下血腫に対するリハビリテーションを考える〜フルリカバリーを目指して〜

おはようございます🌞
本日も臨床BATONにお越しいただきありがとうございます!
350日目を担当する、理学療法士のシミーです!

私の記事では、臨床10年の経験をもとに、患者様のことをどのような視点で考えていくのかということをメインにお伝えしています。How towよりも、考えるという部分にフォーカスした内容になっております。私自身が臨床で理解できなかった経験からどのように考えていけば解決の糸口が見えてくるのかということをお伝えしていきます!興味がある方は是非最後まで読んでください。

先月は、【『なぜ?』を使えば臨床は変わる!〜原因追求に必要な思考法〜】というテーマで原因追求についての考え方と取り組み方法についてお伝えしました。興味がある方は是非、下記のリンクより覗いてみてください!

本日は「慢性硬膜下血腫のリハビリテーション」についてお伝えしていきます。

私は脳神経外科病院に勤務しているため日常的に慢性硬膜外血腫の患者様を担当する機会が多くあります。慢性硬膜下血腫は認知症や歩行障害、片麻痺などの神経症状がみられますが、治療すれば症状は消失するケースが多いです。一見、治療後は神経症状も消失したため問題点がなくなってしまったと思うことがあります。しかし、実際はそんなことはありません!慢性硬膜下血腫という疾患に捉われずに、患者様をみることができればセラピストとして介入することはたくさんあります。今回はそのような部分をお伝えしていこうと思います。

もしかすると、回復期病院や脳外科の急性期以外なら担当したことがないセラピストも多いかもしれませんが、「患者様が動けるからリハビリでアプローチする部分がわからない」と感じられている方にもアプローチのヒントになる内容ですので、慢性硬膜下血腫を見たことがなくても役に立つと思います!



○結局、何にアプローチするの?

最初に結論をお伝えします。

患者様の生活に対してアプローチをします!

ちょっと抽象的でわかりにくいので解説していきます。

慢性硬膜下血腫で治療を受けて、認知症や歩行障害などの神経症状は消失します。しかし、慢性硬膜下血腫になった原因にまでアプローチできているでしょうか?

あとで詳しく解説しますが、慢性硬膜下血腫の原因は「外傷」です。つまり、何らかの原因によって頭部に衝撃が加わることがスタートになります。この、「何らかの原因」は患者様の生活の中に隠されているのです。

環境的な問題なのか?身体的な問題なのか?精神的な問題なのか?そういった部分にアプローチしていくことが、慢性硬膜下血腫のリハビリテーションであると私は捉えています。

○慢性硬膜下血腫とは?

〈病態〉

・軽度の外傷などにより硬膜下に出血が起こり、被膜(外膜、内膜)が形成される
・肉が組織である外膜は血管に富み、容易に出血する
・破綻した血管は修復されず出血を繰り返し、徐々に血腫が増大し症状が現れる
・被膜が形成される機序は明らかになっていない
・外傷以外の原因として、抗凝固薬、抗血小板薬の使用や、癌の硬膜転移がある

慢性硬膜下血腫の病態

〈症状〉

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