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サッカー動作を考えていくために必要なことは?〜ドリブル動作をみていくためのポイント〜

いつも脳外ブログ 臨床BATONをご購読頂きありがとうございます。

臨床BATON319日目を担当します脳外臨床研究会 応用歩行・動作に特化した橋本一平がお送り致します


今回お送りするブログはスポーツ動作を考えていくために必要なことは?〜投球動作を見ていくためのポイント〜をお届けする予定でしたが、どうしてもサッカー動作で伝えておきたいことが見つかりましたので、今回サッカー動作を考えていくために必要なことは?〜ドリブル動作をみていくためのポイント〜をお届けしていきます。


前回のブログではスポーツ動作を考えていくために必要なこと〜キックの飛距離やキック力を上げるポイント〜を書かせてもらっていましたので、ご興味があれば一度覗いて下さい。

*気になったブログには「スキ」や「コメント」もお待ちしています。

今回のテーマは「スポーツ動作」に着目して皆さんにお伝えしていきます。

皆さんはスポーツしたことはありますか?したことがなくてもオリンピック、パラリンピックなどを通して見たことはありませんか?

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スポーツの種類としては、野球、サッカー、バレー、バスケ、テニス、ゴルフ、バトミントン、卓球、ラグビー、アーチェリー、スケボー、スキー、スノボー、体操、陸上、空手、柔道、剣道など、、、数多くのスポーツがあります。

そして、スポーツ分野においても私たち専門職は大きな力を発揮する場となります。

実際にスポーツを専門としているセラピストも数多くいます。

また、趣味としてスポーツをしている方もいて、それを目標にリハビリを実施している方も多くいると思います。

だからこそ、私たちリハビリの専門家だけの分野ではなく、トレーナーの方やスポーツ指導者、またはスポーツをしている子供やその親、そして競技をしている自分自身など多くの方が関連している分野であると考えています。

では、私たち専門家のみが動作を理解していれば良いのでしょうか?

私自身はそうではないと考えています。

実際にスポーツを習っている時間、リハビリしている時間よりもそれ以外の時間の方が長くないでしょうか?

指導者や子供を見守る親も含めて理解していくことで、技術ばかりの指導ではなく、根拠に基づいて、効率よく、的確なポイントで指導することができます。

今回はその中でも「サッカーのドリブル動作」に着目してブログを書かせてもらいます。


はじめに

 サッカーにおいてシュートしている時間とドリブルをしている時間どちらが多いと思いますか?(ポジションにもよるかもしれませんが、当然、ゴールキーパーは別で考えて下さいね。)

そうですね。ドリブルしている時間の方が長いです。

サッカーというのは、簡単に言うと「競技者が目的とする場所へボールを運ぶスポーツ」と言われています。そのボールを運ぶ手段として、シュート、パス、ドリブルがあります。

その中で、ドリブルとは「ボール操作を伴った移動」ということになります。

皆様に質問です!

ドリブルの遅い、速いは何で決まるか知っていますか?


サッカーにおけるドリブルとは、ゴールに向かってドリブルを行い、フェイントで相手を抜いて、またドリブルをする。チームの仲間からパスをもらい、ドリブルをする。敵のボールを奪い、ドリブルをするなどなくてはならないものです。

では、ドリブルが遅いのと速いのでは、どちらがよりゴールに近づけるでしょうか? 

また、世界のドリブラーと呼ばれる有名プレイヤーのドリブルスピードはどうでしょうか?

一瞬にして相手を抜き去るスピードが見ていても圧巻ですよね。

その為に必要な要素としては、ドリブル動作の立ち上がりの動きになります。

いわゆる「スタートの瞬間」ってことです

サッカーをしている人なら自分自身もあんなドリブルができたらいいなと思う人も多いのではないでしょうか。

では、自分と何が違うのか?どうすればできるようになるのか?そんな疑問について、ブログを記載していきます。



1、ドリブルを分析する

ドリブルを分析するにあたり、必要なものとして、「ストライド」と「ピッチ」というものがあります。

「ストライド」とは1サイクル中の右足接地瞬間のつま先から、次の右足接地瞬間のつま先までの水平距離。簡単にいうと「一歩の距離」の事をいいます。

「ピッチ」とは1サイクルに要した時間の逆数という(今回は文献上このようにピッチを表しています。)

文献において、ドリブルの立ち上がりが速い人と遅い人を比較したものがあります。

結論から言いますと、ドリブルの立ち上がりが速い人は遅い人よりも「ストライド」も「ピッチ」も両方を大きくしたドリブルを行なっていると結果が出ました。

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F群:速い群 S群:遅い群

上記資料からも分かるように、より大きな変化が起こったのが「ストライド」という結果でした。

このことからも「ストライド」がドリブルの立ち上がり速度を早くしている要因になっていると考えられます。


2、ストライドを考える

ストライドを考えていく上でストライドの基本的な動きをまず見ていきます。

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その中で測定した結果が下図になります。

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赤線の数字は中間位を0と考えた時に伸展方向に大きく動いた角度ほど、マイナスの数字が大きくなっています。なので、F群の方がより離地瞬間の右脚角度が大きくなっている事を示しています。


ここから考えられることとして、「ストライド」の中でも特に立脚後期の増加が大きくなっており、関節レベルでいうと「股関節伸展角度が大きくなっている」ということがわかります。

「キック動作」の時も「股関節伸展」が大事であると記載させてもらいましたが、ドリブル動作においても「股関節伸展」の動きは大事な要素になります。なので、ドリブル動作を評価する際には立脚後期を作るための「股関節伸展」に着目して分析してみて下さい。

しかし、キック動作とドリブル動作ともに同じ「股関節伸展」でも意味が大きく変わってくると私は考えています。

では、何が違うのか?それを最後に書かせて頂きます。

3、キック動作とドリブル動作の「股関節伸展」の違い

ドリブル動作において股関節の伸展があれば良いという訳ではありません。

特にキック動作と違い、ドリブルの股関節伸展はその次の動作であるドリブルの立ち上がり時に強い蹴り出しを作る為に必要な要素だと考えています。

歩行や走行において、スピードを出す為に何をしますか?

・地面を強く蹴って足を前に出すこと

・足の回転数を上げて蹴り出しの回数を増やすこと

(他にも体幹や上肢など多くのスピードの上げ方があると思いますが、ここでは蹴り出しに着目しますね)

その中で、ボールを蹴るドリブルにおいては両方が必要になりますが、ドリブルの立ち上がりのスピードを上げる為には、回転数よりも股関節伸展と共に強い蹴り出しを作ることがまず大事になると考えます。

なぜか?それは強い蹴り出しでスピードを生み出すのと比べて回転数を上げる為に時間がかかるからです。

回転数を上げるということは、それだけ、足で何回も地面を蹴り出さないといけません。

それでは時間がかかってしまい、ボールを取られてしまいます。

動物でもチーターが足踏みして加速しているのをみたことがありますか?獲物見つけたら、一瞬で加速して捕えていると思います。

それと同じで、スタートの瞬間を速くすることが大事になり、その為に必要なのが強く蹴りだすことになります。

また、初速が速くなることで次のドリブル動作への移行も速くなります。その一瞬、一瞬がサッカーでは必要になります。

1人でドリブルしているのではなくて、ボールをとりにくる相手を抜き去らないとボールをゴールに自ら近づけることができないからです。

だからこそ、「股関節伸展」は大事ですが、その後の「蹴り出し」を作る為に必要な要素としてドリブル動作の立ち上がりを評価・アプローチすることが大切になりますので、是非、着目して下さい!

終わりに

 今回は「ドリブル動作」の立ち上がりに着目してブログを記載させてもらいました。ドリブル動作はサッカー競技をする上で欠かすことができない動作になります。また、その中でもドリブル動作のスタートをいかに速く行うかによって、相手を抜けるかどうかが決まるのではないかと私自身は考えています。

当然、テクニックもとても大事ですが、テクニックを習得するには時間がとてもかかります。すぐにできるわけではありません。ただ、ドリブル動作の立ち上がりに着目することは意識次第ですぐに取り組むことができると思いますので、是非、明日から実践してみて下さい。

参考文献
サッカーにおけるドリブルの立ち上がり疾走動作に関する研究 -高校生サッカー競技者を対象として-村越 雄太 中平 翔太 p267-p271
サッカーにおけるボーリを伴った方向転換(ドリブルターン)の動作分析 榊原 潔 NII-Electronic Library Service p301
幼児を対象としたサッカーのドリブルスキル 向上における技術的変化 多賀 健、浅井 武 北海道体育学研究 54:31−41,2019
戸苅,浅見:サッカーのキネシオロジー的研究(1),体育学研究, 16-5, 259/264 (1972)


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