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失語症と音楽〜引き出しやすい歌とは!?〜

皆さんこんにちは😆🎵🎵

臨床BATON 309日目を担当します、急性期でスーパーSTを目指すyuccoです。
S Tの仕事と育児、脳外臨床研究会での活動に奮闘中です♪

脳外臨床研究会の活動の一つ、脳外臨床研究会山本秀一朗のセミナー動画とセミナーレポートをまとめたnoteはこちらからどうぞ💕
新人教育や日々の臨床の悩みのヒントが見つかるかも❣️


また、今までのyuccoが書いた臨床BATONの記事はこちらからどうぞ↓
#臨床BATON スーパーST

《はじめに》

失語症とは、一旦獲得された言語機能が大脳の特定領域(言語野やそれを結ぶネットワーク)の器質的病変によって障害を受けた状態のことをいいます。
『聴く』『読む』などの言語理解と『話す』『書く』などの言語表出がともに障害を受けます。

全失語や重度ブローカ失語を発症し、言語能力の多くを引き出せず言葉が出ない患者さんでも、歌を歌う場面では歌詞を流暢に表出可能な場面を臨床でよく経験します。

言語中枢と歌唱中枢は違う場所なのでしょうか?
また歌を歌うことが、言語能力を改善させるのでしょうか?
患者さん自身が好きな歌が歌いやすいのでしょうか?
流暢に歌える曲と歌えない曲などの違いはあるのでしょうか?

失語症のリハビリとして音楽を選択するとき、上記さまざまな疑問が浮かびます。
一つずつ検討したいと思います。

《言語と歌の脳機能》

左右の脳は協調的に働いていますが、高次脳機能のなかで半球優位性の現象が最初に知られたのは言語で、フランスの外科医であったPaul Brocaが発話の半球優位性に関する論文を出版し、言語の左半球優位性が確立されたとされています。

安井ら(2009)によると、言語と音楽の脳活動を脳磁図で直接比較して、大脳半球優位性を調べた研究があります。
聴覚野において、旋律エラーは右半球優位の活動がみられ歌詞エラーでは左半球優位の活動がみられたと報告があります。

武田らの報告によると、失語症を伴わない表出性失音楽がみられた文献例14例中13例は右半球損傷によるものでした。このことからも音楽の表出面の機能は右半球の関与が大きいことが推察されます。
左半球損傷による重度の失語症を呈しても、右半球の機能により歌唱ができることは理解できます。

コミュニケーションにおいて、左右半球が担う役割は違います。
右半球を損傷すると言語機能自体は障害されませんが、皮肉・隠喩やユーモアの理解が難しくなったり、トーン(声の高低、大きさ、スピード)やプロソディ(リズムやストレス、イントネーション)といった音楽に繋がる抑揚の部分に問題が生じます。

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《歌うことが言語能力を改善させる!?》

失語症患者に対する音楽療法の有用性はあるのでしょうか?

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