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肩関節疾患でセラピストがみるべきMRIのポイント Part2

おはようございます(^ ^)

本日も臨床BATONへお越し頂き、ありがとうございます。

305日目を担当するのは理学療法士のゆーすけです。


手術を前提とした腱板断裂患者様を担当した時にMRIで何をみていいかわからない人

「腱板断裂の位置ってどうみたらいいの?…。手術前に何をみたらいいの?…。術式ってどのように決められるの?…。」

こういった疑問にお答えします。



★はじめに

今回は前回、前々回からの肩関節周囲炎と腱板断裂の画像の見方に引き続いて、腱板断裂の術前でのMRIの見方について考えていきたいと思います。
今回は明らかに腱板断裂の診断があり、手術を予定していて術前からリハビリがスタートした場合、もしくは術後から担当した際にどのような損傷があったのかを知るというイメージです。

MRIは主には肩腱板断裂の精密検査になり、断裂部位の有無の確定や断裂の程度を知ることができます。そこから腱板断裂の手術が必要かそうでないか、必要な場合はどのような手術を選択するかを決めていくことにもこのMRIから決定していきます。
断裂した腱板を縫合するケース、縫合するだけでは再断裂のリスクが高く修復困難なケースでは肩上方関節包再建術が施行されます。

術式によって術後のリハビリプログラムが異なり、その病態を把握するために今回お伝えするMRIの見方が必要となります。
このブログを読み終わった時にMRIをみてみようと思ってもらえると嬉しいです。

★腱板断裂の確認

前回のブログでもお伝えしたように腱板の中でも最も切れてる可能性の高い棘上筋をまずは確認します。

画像のように正面像で断裂している部分は高信号として写ります。


こちらの症例も同じように棘上筋の断裂を認めます。しかし、断裂範囲が
上の症例よりも大きいです。

この画像からだけではその他の断裂部位を確認できません。

★棘上筋以外の断裂部位の確認

正面画像からでは棘上筋の断裂のみしかわかりませんが、先程の症例様のように断裂が大きそうなケースではその他の腱板筋の断裂の有無も確認してみてください。
確認方法としては棘上窩でY viewが描出される断面でみていきます。
前回のブログでもこのY viewについては登場していますが、詳しくは前々回のブログでお伝えしていますのでそちらの方もご覧下さい。(https://editor.note.com/notes/n92839e724d4a/edit/


こちらは断裂のないY Viewです。


見方としては前回のおさらいになりますが、Yの左上に見えるのが烏口突起になるので、向かって左側が前側になります。Yの上面部分が棘上窩でそこに収まっている筋肉が棘上筋です。
烏口突起を見つけて前後を判別できると肩甲下筋や棘下筋がわかりやすくなります。

こちらは断裂を認める症例様のY Viewです。



なんとなく断裂のない症例様と比べ白い部分が多いように感じますね。


筋肉に当てはめてみた時にどこに断裂がありそうかわかりますか?


そこで必要となる知識としてGoutallier分類になります。

Goutallier分類は0〜4の5つのstageで筋萎縮と脂肪浸潤の程度を把握することができます。

stage 0:脂肪浸潤なし
stage 1:軽度の脂肪浸潤と筋萎縮
stage 2:筋よりも脂肪浸潤の範囲が狭い
stage 3:筋と脂肪浸潤の範囲が同等
stage 4:筋よりも脂肪浸潤の範囲が広い

脂肪浸潤がある部位は白く映るので、その範囲が多いと筋萎縮があり断裂の可能性が高いということになります。
今回はstageの分類に当てはめるというよりも、腱板の中で棘上筋の他にも断裂部位はあるのか?程度でみていきましょう。

棘上筋は明らかに萎縮を認めることがわかります。
では、その他の腱板はどうでしょう?

棘下窩につく棘下筋の一部も脂肪浸潤していることがわかります。
その下にある小円筋と肩甲下筋は黒く映ってるので断裂がないことがわかります。

★術後の展開を考える

今回の症例様では断裂が広範囲であり、縫合では修復困難と判断され手術選択として肩上方関節包再建術が施行されました。この手術では大腿筋膜を一部切除し、棘上窩と大結節を結ぶように挿入される手術です。
この手術では棘上筋と棘下筋の機能はなくとも三角筋の力で挙上が行えるようになります。術後は3週間程度外転装具が必要となり、徐々に自動運動を開始していきます。その時の展開として棘上筋・棘下筋トレーニングを行いたくなりますが、ここでは三角筋をいかにして使えるかがその後のパフォーマンスの鍵となります。

★さいごに

いかがでしたでしょうか?
腱板の断裂の有無の確認から、術式の選択の理由と術式を理解することで何に力を注ぐべきかが変わってきます。

今回の内容が少しでも臨床へのヒントになれば幸いです。

最後までお読み頂きありがとうございました。

次回の臨床BATONは、一平さんです!
今回のテーマは「障害別で見ていく応用動作の見方 〜運動失調患者の方向転換動作を考える〜」です。
皆さんお楽しみに!
それでは、一平さんお願いします!

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