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田舎の一匹狼セラピストが考える「生活期に来て気づいた、回復期でやっておいた方が良かったこと」

本日も臨床BATONにお越し頂きありがとうございます。
130日目を担当させて頂くのは、「田舎の一匹狼セラピスト」という通称が地域に根ざしたデイサービスの事業構想を企む上であまり良い印象を与えないのでないかと最近感じてきているPT貴田農士です。
(田舎のぼっちPTに変更しようかな・・・いや、そもそも田舎が良くないのか・・・)

そんな話はともかく、今回は「生活期に来て気づいた、回復期でやっておいた方が良かったこと」というテーマで書かせて頂きます。
内容的には、私は13年間回復期病院に勤務していましたが、様々な理由があり、現在は老健に勤務させて頂いていて、その生活期の施設という場所を経験して気づいた事をお伝えできればと思っています。
いわゆる私自身が現在生活期の関わりの中で感じている実体験と回復期でもっとやっておけば良かったという反省に近い内容になっております。
現在回復期や急性期、一般病院で働いているセラピストの方々へのメッセージにもなれば幸いです。

また、以下は今回使用する全ての図やイラストとなっています。読み進めるご参考にしていただければと思います。

臨床バトン 老健

老健2

老健3

スライド3

スライド4

スライド2

また、購入していただいた方には、この内容を音声メディアにて聞くことできるURLを有料ライン以下に記させていただいていますので、お忙しい方や耳で情報をとりたい方、出勤時の車や電車の中などで気軽に聞いてみて下さい。

はじめに

今回このようなテーマにしてみたら、正直たくさんの項目が上がってきてしまいました。しかしそれはどちらかというと「なぜ、このような形でうちの老健(または生活期)に送ってきたのだろうか?」という疑問も多かったです。
ただ、このような疑問も回復期に勤務していただけでは感じなかった、気づけなかった事だと思っています。
ただ、今回その疑問(愚痴にも近いかも・・・)についてではなく、純粋に私自身の反省、生活期で気づいて、回復期に勤務していたときにもっとこうしておけば良かったなと思うことにフォーカスを当てさせていただきたいと思います。

介護老人保健施設とは

まずは、私が勤務している介護老人保健施設(以下、老健)がどのような施設なのかについて、ざっくりとお伝えしたいと思います。

臨床バトン 老健

(定義)
介護老人保健施設とは、要介護者であって、主としてその心身の機能維持回復を図り、居宅における生活を営むことができるようにするための支援が必要である者に対し、施設サービス計画に基づいて、看護、医学的管理の下における介護及び機能訓練、その他必要な医療並びに日常生活上の世話を行うことを目的とする施設(介護保険法第8条第28項)

つまり、急性期・回復期病院から在宅復帰のためのワンクッションとなる役割を有している施設ということになります。
ただこれにもいろいろな思惑や地域特性もあると思うので、一概にはうまくいっていない施設もあると思いますし、特養待ちや看取り対応で数年間入所している方もいると思います。

ただ分かっていることは、自宅復帰が何かしらの理由で難しいということと大抵そのような方々は重度な認知症や脳血管障害などの対象者だということです。

老健2

お恥ずかしいことに私も老健に勤務するまで、老健がこのような自宅復帰の為のワンクッションとなる役割を担う施設だとは理解していませんでした。
このようなことを理解していれば、例えば、主介護者の時間的リソースや家屋情報(家屋写真などがあればそれが最高)、現在自宅に帰れない主な原因などをもっと明確に申し送ることが出来たのでは無いかと反省しています。

老健のリハビリ介入時間

そして、もうひとつ頭に入れておかなければいけないことは、リハビリ専門職が関われる時間です。
生活期になるとリハビリの時間が減るということは、大抵の方がなんとなくは理解していることだとは思います。
しかし、どの程度減るのかを具体的に調べたり、考えたりしたことがあるでしょうか?
例えば、転所先にどの程度の時間、リハビリ専門職が関われるかを皆さんは直接、または電話などで聞いたことがあるでしょうか?

以下に示す図は、老健などの入所後、毎日短期集中リハビリテーション加算を実施した場合と短期集中リハビリテーション加算が無い場合と回復期の9単位ベースの介入との比較となっています。

ちなみにこの短期集中リハビリテーション加算(240単位/日)は、ご家族や本人に希望に応じて回数がある程度決められていますが、期限は入所日から3ヶ月以内とされています。
概要は1回20分以上の専門職による個別リハとなっており、それ以上の時間や他のセラピストが実施しても加算にならない、収益にはならないという仕組みです。

そして、3ヶ月以降は、その施設の型にもよりますが、加算型という型以下では決まりは無く(私が勤務している施設は週2回)、強化型という型以上であれば週3回のリハビリ介入の要件が必要となります。しかし時間は20分程度で集団訓練でも良いとされています。

老健3

このように具体的に図にしてみると、とてつもなくリハビリの専門職が関わる時間が減るということが分かります。

では、先ほどの老健施設の役割とこのリハビリ時間の減少を踏まえると、前の時期(回復期や急性期、一般病院)のリハビリ専門職は何をしておいた方が良いと思いますか?
(自宅退院が目標なのにリハビリ時間べらぼうに減ってるじゃんって話です)

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